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本:読書「疲れたら動け」小林弘幸著

生理学


「動けば疲れは消える」:疲労回復の新常識

私たちが日常で感じる疲労。それは仕事のストレス、身体の疲れ、そして精神的な重荷から来ています。一般的には、休息と言われることが多いですが、実は「疲れたら、動く」ことが、予想外の解決策となることがあります。そう、動くことが、実は最良の疲労回復法の一つなのです。

今回ご紹介するのは、小林弘幸氏による著書『疲れたら動け』。この本は、日常的に疲れを感じ、休んでも疲れが取れないという方にピッタリの一冊です。小林氏は、日本人特有の疲労パターンを分析し、それに適した具体的な対処法を提案しています。たった15秒で始められるシンプルな方法から、睡眠環境の改善まで、疲労回復に役立つ知識が満載です。

このブログでは、私たちの疲れの根源、慢性的な疲れに対する一般的な誤解、そして質の高い睡眠を実現するための環境作りについて、小林氏の本を基に解説していきます。疲れを感じたら、ぜひこの方法を試してみてください。驚くほど身体が軽くなり、日々の活動に新たな活力を感じるはずです。では、疲労を吹き飛ばす秘訣、一緒に探っていきましょう。

疲れたら動け!【電子書籍】[ 小林弘幸 ]

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疲れの原因

私たちの疲れはどこから来ているのでしょうか?仕事に追われるビジネスパーソン、家事や子育て、介護を行う人々…誰もが何らかの形で疲れを感じているのではないでしょうか。疲れているけれど、何とか笑顔で頑張っている。これが多くの人の本音ではないでしょうか。

日本人が感じる疲れの特徴は、人間関係や仕事のプレッシャー、責任などから来る精神的な疲労の蓄積にあります。これらは体の疲れと同じように感じられますが、特に生真面目な人ほどこの疲労パターンに当てはまりがちです。疲れはぼんやりとした全身の倦怠感をもたらし、何をどうすればスッキリするのかがわかりにくいものです。

仕事を辞めるわけにはいかないし、介護を放り出すわけにもいかず、子育ては毎日続きます。寝ても疲れは取れないし、疲れを感じることを簡単に手放すのも現実的ではありません。しかし、こうした疲れは慢性的なものとして諦めるべきではありません。実は私たちが感じている疲れには、肉体的な疲労だけでなく、自律神経の乱れからくるものも多いのです。仕事のストレス、睡眠環境の変化、気温や湿度の変化などによって自律神経のバランスが乱れ、精神的な疲労を感じるようになります。

著者は、このような精神的な疲れを「悪い疲れ」と呼んでいます。一方、趣味のスポーツをした後の筋肉痛や、職場の仲間と団結して迫りくる納期を乗り越えた後の疲れ、休日に子供たちと全力で遊んだ後に感じる体の重さなど、肉体的な疲れは「良い疲れ」とされます。ここには、精神的なストレスの有無が大きな違いとなります。

多くの人は、抱えている疲れの原因を忙しさにあると考えがちですが、著者は異なる見解を持っています。実際の原因は、自分でコントロールできる自分のための時間をうまく作り出せていないことにあると言います。家事や育児、介護など他人のペースで自分の生活リズムが区切られてしまうこと、自由に行動する時間があまりにも少ないことが、精神的な煮詰まり感となり、ストレスとして蓄積されます。そして、1日が終わった時に「どっと疲れる」という悪い疲れのもとになります。

大切なのは、自発的に動くことです。運動はもちろん有効ですが、必ずしもスポーツをする必要はありません。自分で望んだ予定を楽しみながら取り組むことが、自発的に動くことに当てはまります。

誤解その1: もっと安息すれば疲れが取れる

多くの人が、「疲れた時は体を休めるのが一番」と考えています。休みの日には昼遅くまで寝床でゴロゴロと過ごし、起きた後も家の中をパジャマのままでボーッと過ごす。確かに、非常に疲れている時には休息が必要です。しかし、ダラダラと休むことで血液の流れが滞り、疲労が悪化する可能性があります。

著者は、疲れている時ほど軽く体を動かすことを推奨しています。休息の本来の目的は、体を良い状態に戻すことにあります。つまり、質の良い血液を体の隅々まで届けるために休むのです。しかし、ただゴロゴロしているだけでは血液の循環が改善されず、体の状態を良くするきっかけをつかむことができません。

普段感じるだるさの多くは、血液の流れが滞ることが原因です。この状態は、「血行不良」と呼ばれ、静脈内の血流が悪くなり、老廃物や疲労物質をうまく運び出せなくなってしまいます。その結果、「だるいから休みたい」と感じるようになります。血行不良が生じている時には、動いて血流を促進するのが最も適切な対処法です。筋肉が動くことで滞っていた静脈の血液の流れがスムーズになり、老廃物や疲労物質が処理され、酸素や栄養が細胞の隅々まで行き渡ります。

著者が特におすすめしているのはウォーキングです。普段の歩く速度よりも少し速めに、一定のリズムで歩くこと。5分を複数回行うよりも、20分程度まとめて歩く方が効果的です。ウォーキングによって呼吸量も増え、血流が改善します。

誤解その2: 忙しすぎるから疲れていると思っている

毎日が残業続きでやる気が湧かない、介護と仕事の両立で疲弊している、大型連休後に仕事に戻った際の五月病のような状態…。確かに、忙しさと疲れは密接に関係していると感じられがちです。しかし、ここで大切なのは、充実感を伴う疲れがあることを認識することです。疲れが心地よいと感じられる瞬間もありますよね。その違いは、何に対して行動しているか、その意識の差にあります。

  • 自分から進んで取り組んでいる場合、やりたいことや結果を出したい、喜んでもらいたいという意識が働きます。
  • 「仕方がない、他にできる人がいないから」「言われたからやる」という消極的な意識で取り組んでいる場合、疲れ方が全く異なります。

この2つのアプローチでは、感じる疲れが180度変わります。これは、個人の意識が受けるストレスの質を変え、それに伴って自律神経の乱れ方にも影響を及ぼすためです。しかし、ネガティブな思考が染み付いている人が、いきなりポジティブに考えることは難しいですよね。そのため、意識を変えることも一朝一夕にはいきません。

重要なのは、忙しさをうまく受け流し、少しずつでも心の持ち方を切り替えるよう努力することです。忙しいからといって自動的に疲れるわけではなく、その忙しさをどう捉え、どう対応するかが疲れの度合いを大きく左右します。充実感のある「良い疲れ」と感じられるよう、自分の行動や意識にポジティブな変化をもたらすことが大切です。

誤解その3: もう若くないから疲れが取れない

「もう若くないから疲れが取れない」という考えは、実際のところ半分正解であり、半分誤解です。多くの人が、若い頃のエネルギッシュだった自分を思い出し、「どうしてあんなに元気だったんだろう」と不思議に思うことがあります。これには、自律神経のバランスの変化が関係しています。

研究によると、男性は30代、女性は40代になると副交感神経の働きが低下し、交感神経が優位になる傾向があることが分かっています。副交感神経の働きが低下すると、新しいことに挑戦するのが億劫になり、慣れない環境への適応も難しくなります。若い頃は副交感神経の働きが活発で、自律神経が乱れてもすぐにリカバリーできたものですが、年齢と共にこのリカバリー力が衰え、新しいストレスや感情の変化に対応するのが苦手になりがちです。その結果、変化に向かうのが面倒になり、「疲れた」と感じることが多くなるのです。

しかし、「もう若くないから疲れる」というのはある程度事実ですが、「若くないから疲れが取れない」とは限りません。年齢を重ねることで自律神経のバランスが変わるのは事実ですが、それに適応し、健康的な生活習慣を心がけることで、疲労回復力を維持することは十分可能です。適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスマネジメントなどを通じて、年齢とともに変化する体のニーズに応えることが重要です。よって、「疲れが取れない」と感じたときは、年齢を言い訳にせず、ライフスタイルを見直す機会と捉えるべきです。

快適な睡眠を実現するための環境を整える

快適な睡眠を実現するための環境を整えることは、日々の疲れを癒し、エネルギーを回復させる上で非常に重要です。質の良い睡眠には二つの条件があります。一つ目は、寝る前に副交感神経の働きを高め、「ああ、気持ちいい」と感じながら眠りにつけること。二つ目は、目が覚めた時に「ぐっすり眠れた、疲れが取れた」という感覚になれることです。今回はこの2つの感覚を満たす ための 睡眠環境の作り方を3つ紹介していきます

1. 睡眠前のルーティンを確立する

睡眠前のルーティンを確立し、副交感神経の活動を促進させることが重要です。例えば、温かいお風呂にゆっくりと浸かる、軽いストレッチや深呼吸をする、読書やリラックスできる音楽を聴くなど、リラックスできる活動を心がけましょう。これらは副交感神経を高め、心身ともにリラックスした状態で眠りにつけるように助けます。

2. 快適な寝室環境を整える

寝室の環境を見直し、快適性を高めることも大切です。寝室は静かで、暗く、適切な温度が保たれていることが理想的です。質の良いマットレスと枕を選び、寝具は清潔で快適なものを用意しましょう。また、寝室内の電子機器を減らし、睡眠を妨げる光や音を最小限に抑えることも重要です。

3. ストレスを管理する

日中のストレスは睡眠の質に大きく影響します。可能な限りストレスを管理し、日中に解消する方法を見つけることが大切です。瞑想、ヨガ、適度な運動など、ストレスを軽減する活動を取り入れましょう。また、夜になると活動を控え、心身ともにリラックスする時間を確保することが、良質な睡眠へとつながります。

これらの方法を実践することで、快適な睡眠環境を作り出し、日々の疲れを効果的に回復させることができます。

快適な睡眠環境の構築に役立つ三つの重要なポイント

1. リラックスできる部屋の環境づくり

寝室をリラックスできる空間にすることは、安心して眠りにつくために非常に重要です。真っ暗闇は本能的に不安を感じさせ、意外にも交感神経の働きを活発にしてしまうことがあります。そのため、寝付きが悪い人は、ぼんやりとした間接照明を使うことをお勧めします。これにより、安心感を与えるとともに、部屋の雰囲気を柔らかくし、睡眠へと導きます。

感情が高ぶった日には、クラシック音楽や環境音楽など、リラックスできる音楽をかけるのも有効です。好きな音楽を聴くことで心が落ち着き、副交感神経の働きを促進させることができます。寝付けない時は、ごく小さな音量で音楽を流しながら眠りにつくのも一つの方法です。ここで大切なのは、寝室から不安やストレスを感じさせる要素を取り除くことにあります。

2つ目のポイント: 締め付けないゆったりとした服装

睡眠時の服装は、自律神経のバランスを整える上で想像以上に重要です。理想的には、体のどこも締め付けないことが望ましく、実際、何も身につけずに寝ることがこれに最も近い状態です。しかし、全ての人がこの方法を実践するにはハードルが高いかもしれません。

日本では、上下スウェットやジャージを睡眠時のウェアとして選ぶ人が多いです。これらの衣類は手軽に購入でき、選択も簡単で、利便性が高く部屋着としても適しています。しかし、腰回りを締め付けるゴムがついた衣類は、血液の流れを妨げるだけでなく、膀胱を圧迫し、夜間の尿意を引き起こす一因となることがあります。

著者が推奨するのは、腰を締め付けない紐タイプのズボンです。これにより、腰回りの圧迫感を減らし、より快適な睡眠をサポートします。上半身に関しても、締め付けのないゆったりとしたTシャツなどを選ぶことが大切です。睡眠時は体を完全にリラックスさせるため、緩めのウェアを徹底的に選ぶべきです。

また、シーツや布団、毛布の選び方も忘れてはいけません。これらの寝具は肌触りが重要で、人によって好みが異なります。自分の肌に触れて気持ちが良いと感じる素材を見つけることで、よりリラックスした睡眠環境を作り出すことができます。

快適な睡眠への道は、締め付けない服装と心地良い寝具選びから始まります。自分に合った睡眠ウェアと寝具を選ぶことで、質の高い睡眠を得ることができるでしょう。

3つ目のポイント: リラックスできる香りを漂わせる

私たちの五感—視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚—は、無意識のうちに自律神経に大きな影響を与えます。たとえば、公園で緑豊かな木々を眺めながら歩くことは、街中を歩くよりも高いリラックス効果を得られます。このように視覚や聴覚がリラックスに寄与するのと同じように、嗅覚もまた重要な役割を果たします。

心地よい香りは心を安らげ、副交感神経の働きを高めてくれます。寝る前に自分の好きな香りを嗅ぐことで、適度なリラックス効果が得られ、睡眠の質を高めることができます。香りの種類に特別な制限はありません。個人のお気に入りであれば、それが最適です。自分にとって心地よいと感じる香りを選びましょう。

ただし、冷え性の方は、血流を促進する効果がある柑橘系の香りが特におすすめです。レモンやオレンジ、グレープフルーツなどのエッセンシャルオイルは、心を明るくし、体を温める効果が期待できます。

ストレスを感じた日や体が疲れている夜には、この香りの力を上手に活用して、心身ともに落ち着かせましょう。アロマディフューザーやアロマキャンドル、または手軽に使えるアロマスプレーなどを用いて、寝室を自分好みの香りで満たすことが、リラックスした睡眠につながります。香りによるリラックス効果を活用して、より質の高い睡眠を手に入れてください。

まとめ

今回のブログでは、私たちが日々感じる疲れの根源と、それに対する効果的な対処法を深掘りしました。初めに、私たちの疲れが単に肉体的な疲労だけでなく、自律神経の乱れから来ていることを解説しました。続いて、疲労にまつわる一般的な誤解—休めば休むほど疲れが取れる、忙しさが疲れの原因、年齢とともに疲れが取れにくくなる—を明らかにし、これらの誤解を解いていきました。

また、快適な睡眠環境の構築に役立つ三つの重要なポイント—リラックスできる部屋作り、締め付けない服装の選択、心地よい香りの利用—を紹介しました。これらはすべて、より良い睡眠を通じて自律神経のバランスを整え、日々の疲れを効果的に解消するための手段です。

休息に関しては、ただだらだらと過ごすのではなく、事前に「ダラダラと休む日」をスケジュールに組み込むことを提案します。このように計画的に休むことで、仕事や家族からの要求を一時的に忘れ、心からリラックスすることができます。自発的にリフレッシュし、心と体を休めることで、自律神経が整い、心に余裕が生まれます。

今回ご紹介した『使われたら動け』は、疲労に対する私たちの理解を深め、日々の生活の中で実践的なアプローチを提供するための素晴らしい一冊です。まだ触れられていない内容が多くありますので、ぜひ手に取って読んでみてください。あなたの日常に新たな気づきとエネルギーをもたらすはずです。

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