科学がつきとめた「運のいい人」 中野信子
皆さん、こんにちは！今日は、運命の転機を科学的に解明した注目の一冊、「運のいい人」についてお話しします。著者、中野信子さんが、脳科学の視点から「運が良い」とされる人々の秘密を探ります。
この本を通じて、私たちは何を学ぶことができるのでしょうか？主な内容は以下の通りです：
- 自己中心：世界の中心に自分を置く方法。
- 運の良さを信じる：自分は運が良いという確固たる信念を持つ。
- 目標と夢：自分なりの幸せを定義し、それに向かって努力する。
運の良し悪しは誰にでも平等に訪れる現象です。本書では、運を良くするための行動や思考パターンを、脳科学の視点から解説しています。運が良い人たちの行動パターンや物事の捉え方を学ぶことで、私たちもより良い運命を手に入れることができるかもしれません。
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「自分を中心に据え、個性を生かす」
この章では、自分自身を最大限に活用するための2つの重要なポイントに焦点を当てます。まず、「今の自分を生かす」という考え方です。多くの人々は、運の良い人になりたいと願い、そのために自分自身を変えようと努力します。これには、勉強したり、環境を変えたりすることが含まれます。しかし、このアプローチが必ずしも適切かどうかは疑問です。著者は、自分を変える努力が実際には運の良い状態から遠ざかっている可能性を指摘しています。
その理由は、脳には個人差があり、これが個性を形成する一因となっているからです。たとえば、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質は、人それぞれ異なる量で存在し、これらは健康に生きる上で不可欠です。しかし、これらの物質が過剰になると脳や体に悪影響を及ぼすため、モノアミン酸化酵素という物質がこれらを分解し、全体量を調整します。この酵素の分解能力には遺伝的な個人差があり、これが脳の特性を形成します。
例えば、セロトニンの分泌量が多い女性は、生まれつき幸福度が高い一方で、反社会的行動を取りやすい傾向もあります。これは、セロトニンの分泌量により安心感や安定感を容易に感じることができるため、その反対である不安感が少ないためです。不安感は、将来を考える力の現れであり、その欠如は反社会的行動を引き起こしやすくなります。一方で、男性では神経伝達物質の分解能力が低いと、より攻撃的な性質を持つことが知られています。これらの個性は、自分の脳の特徴を自覚し、その発揮を抑えることで一定程度コントロールできますが、根本的に変えることは難しいのです。
だからこそ、私たちは自分を変えるのではなく、今の自分を最大限に生かす方法を考えるべきです。例えば、幸福感が高く反社会的な行動を取りがちなタイプの人は、その無鉄砲な性格を活かして、営業や大規模な金融取引などの分野で活躍できるかもしれません。また、攻撃的な性質を持つ人は、弁護士や組織内の交渉などでその特性を生かすことができます。
このように、自分自身の体、考え、価値観、直感など、ありとあらゆる特性を生かすことが重要です。自分の特質を認識し、それを最大限に活かすことで、運の良い人へと近づくことができるのです。
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「自分自身を大切にする」というアプローチ
本章の2つ目の重要なポイントは「自分を大切に扱う」ことです。これは「今の自分を生かす」という考え方の自然な延長線上にあります。例を挙げてみましょう。きれいでゴミのない道を歩いているとき、そこにゴミを捨てることにはためらいが生じます。しかし、既にゴミが散乱している場所では、さらにゴミを捨てることへの心理的な抵抗感は低くなります。この例は、秩序が維持されている場所とそうでない場所の間での行動の違いを示しています。
この原則は、自己扱いにも当てはまります。自分自身を大切にすることに抵抗感を覚える人もいるかもしれませんが、自分自身を粗末に扱う人は、他人からも同様に扱われる傾向があります。周囲の人々と良好な人間関係を築くためには、まず自分自身を尊重し、大切にすることが必要です。自己尊重は、他人にも同様の尊重を求める基礎となります。
具体的には、自己ケアを行うこと、自分自身のニーズに注意を払うこと、そして自己肯定の姿勢を持つことが含まれます。例えば、健康を維持するための適切な睡眠や栄養、定期的な運動、または自分の心理的健康に投資することも、自分を大切に扱う行動の一部です。自分自身に優しく、自己の価値を認めることが、他人からの尊重を引き出す第一歩となります。
このように、自分自身を大切に扱うことは、周囲の人々との関係性にも影響を与え、自分自身に対するポジティブな変化をもたらします。自己尊重のアプローチは、運の良い人になるための重要なステップの一つです。
「思い込みの力とポジティブな自己観」
2つの重要なポイントに焦点を当てます。一つ目は思い込みが持つ力というテーマです。根拠がなくても、「自分は運がいい」という強い信念を持つことが実際に運を良くすることにつながります。例えば、仕事で契約が取れなかった時、「運がいい」と思い込む人は、「自分は運がいいのに契約が取れなかったのは、準備不足かもしれない、もっと勉強が必要だったかもしれない」と考え、自己改善の可能性を見出します。
一方、「運が悪い」と思い込む人は、「こんなに努力しても運が悪いせいで契約が取れなかった」と考えがちで、自己改善の機会を見逃します。この違いは、遭遇する事象が似ていても、それらに対する捉え方や対処方法が異なるためです。長期的に見ると、これらの小さな思考の違いが、結果に大きな差を生むことになります。
そこで、ポジティブな自己名を持つことが推奨されます。具体的には、どんな状況でも「自分は運がいい」と信じることです。たとえ根拠がなくても、このポジティブな思い込みは、より良い結果につながる傾向があります。自己肯定感を高め、困難な状況でも前向きな姿勢を保つことで、新たな機会を見出し、成功への道を切り開くことができます。
「プラスの自己イメージの持ち方」
この章の2つ目の重要なポイントは、「プラスの自己イメージを持つ」ということです。これは、「自分は運がいい」という思い込みと相まって、特に効果的です。挑戦的な状況、例えば試験、スポーツの試合、または重要な仕事のプロジェクトに取り組む際、ポジティブな自己イメージは成果に良い影響を与えます。
たとえば、会社で難易度の高い重要なプロジェクトを任された場合、過去の成功経験を思い出し、「前回成功できたのだから、今回もうまくいくだろう」と自分自身に肯定的なイメージを持つことが重要です。これは、日頃の努力と成果が認められた証でもあります。このように、特別な根拠がなくても、根拠のない自信を持つことが、プロジェクトの成功につながる可能性を高めます。
この効果を実証する実験として、イギリスで行われたメンタルローテーションタスクの実験があります。これは、1つの図形が示され、それと同じ形のものを多数の図形の中から選ぶテストです。一般的には、このタスクは男性が女性よりも早く、正確に解くとされています。しかし、実験の前に行ったアンケートにより、結果に大きな差が生じました。性別に関する質問をされた女子学生の正答率は男子学生の64％でしたが、自分の所属大学に関する質問をされた場合、女子学生の正答率は男子学生の86％まで上昇しました。これは、有名大学の学生というプラスのイメージがテストのパフォーマンスに良い影響を与えたと解釈できます。
このように、プラスの自己イメージは、パフォーマンスに直接的な影響を与えます。新しい挑戦や課題に取り組む際は、できるだけポジティブなイメージを持つことが推奨されます。運が良いと信じ、ポジティブな自己イメージを持つことで、成功しやすくなり、さらに自己イメージも向上します。次の挑戦で失敗したとしても、ポジティブな思考を持つ人はそこから学び、改善の努力をし、再び良いサイクルに戻ることができます。
「具体的な目的の持ち方と幸運への準備」
この章では、運命を自分の手で形作るための3つの重要なポイントについて解説します。まず第一のポイントは、「具体的な目的を持つ」ということです。ある時期に流行した「セレンディピティ」という言葉を思い出してください。これは、偶然の幸運をキャッチする能力を指します。セレンディピティを発揮する人々は、しばしば「運がいい」と評されます。この能力を持つ人々の共通点とは、何でしょうか？
それは、幸運をキャッチするための準備ができていることです。この準備の中で最も重要なのは、明確な目的を持ち続けることです。セレンディピティを発揮した人々は、「これをやりたい」「これを達成したい」という明確な目標を強く持っています。目標が明確であれば、それに向かって具体的な努力をすることができます。
幸運を掴むための準備は多岐にわたりますが、すべての準備は具体的な目的があってこそ始まります。この目的を持つことで、人は偶然の幸運を自分のものにする機会を増やすことができるのです。
「自分なりの幸せの物差しで目的や目標を定める」
2つ目のポイントは、自分なりの幸せの物差しで目的や目標を決めることです。運の良し悪しは、客観的に定義することが困難です。同じ状況に置かれたとき、それを運が良いと見るか、悪いと見るかは、最終的には自分自身で決めるしかありません。では、なぜ人は自分の運が悪いと感じてしまうのでしょうか？
その主な理由の一つは、自分なりの幸せを基準にした目的や目標を持っていないことです。自分自身の価値観をベースに、「こうしたい」「ああしたい」という具体的な願望を持っていない人は、他人の意見や一般的な価値観に影響されやすくなります。自分なりの幸せの基準で設定した目的や目標がない場合、チャンスを逃したり、努力が無駄になることがあります。
このような状況では、お金や学歴、肩書き、容姿などの外部的な要素が、幸せの真の基準として誤って用いられることがあります。これらは本来、人生を豊かにするための手段であるべきですが、目的と手段を混同することで、充実感のない状態に陥る可能性があります。
「脳の飽きやすさを理解し、新しい刺激を与え続ける方法」
この章の3つ目のポイントは、脳が飽きやすい性質を理解し、それに対応する方法です。人間の脳は、同じ刺激に対してすぐに慣れてしまう性質を持っています。継続することの大切さを理解しながらも、継続できないのはこの「脳の飽きやすさ」に起因します。では、脳を飽きさせないためにはどうすれば良いのでしょうか？
その秘訣は、脳内の報酬系をうまく活用し、常に新しい刺激を提供することです。例として、言語学習を挙げましょう。言語学習は続けることが重要ですが、同時に続けることが困難です。著者は32歳で仕事のためにフランス語を学び始め、1年間で日常会話ができるレベルに到達しました。その学習方法はどのようなものだったのでしょうか？
著者はまず、「フランス語を話せると何ができるか」ということを具体的に考えました。例えば、フランス語が話せれば、フランスのカフェに1人で入り、好きなものを注文できる、現地の研究者と議論できる、フランス語でスピーチできるなど、言語はコミュニケーションの手段の一つですが、それを使って達成したいことやなりたい自分の姿を具体的に思い描きました。
次に、その目標を実現するためのステップを計画しました。著者は発音の勉強から始め、次に文法を学ぶために薄い文法書をマスターすることを目標にしました。基本が分かった後、フランス人に手紙を書きたいという思いから、フランス人とのメール交換を始めました。これらの学習方法は、脳の性質に合ったもので、発音、文法、メールライティングと段階的に新しい刺激を脳に与えることで、飽きが来ないようにしました。
また、言語の意味が分かったり、少し話せるようになったりすると、面白さを感じ、やる気の元であるドーパミンが分泌されることで、さらに学習を続ける動機付けがされます。脳は快感を得る行動を記憶し、再び快感を得ようと同じ行動を繰り返す性質があります。目標や夢を諦めずに達成するには、常に新しい工夫を考え、脳が喜ぶ新しい刺激を提供することが重要です。この方法で、継続的に目標に取り組み、夢に近づくことができます。
ブログの締め：運のいい人への変容
今回のブログでは、中野のぶ氏の著書「新盤科学が突き止めた運のいい人」から、私たちが日々の生活で実践できる3つの重要なポイントについて詳しく掘り下げました。
- 世界の中心に自分を据える：まず、自分自身を大切に扱い、現在の自分を最大限に生かすことの重要性を学びました。これは、自己肯定感の強化と、自分の強みや特性を理解し活用することにつながります。
- 自分は運がいいと決め込む：次に、思い込みの力とプラスの自己イメージを持つことの効果について考えました。これらは、自己効力感の強化と、困難な状況においても前向きに取り組む姿勢を支える重要な要素です。
- 目標や夢を自分なりの幸せの物差しで決める：最後に、具体的な目標を持ち、自分なりの幸せの物差しで測ることの大切さを学びました。これは、自分の価値観に基づいた目標設定と、脳の飽きやすさに対応する継続の技術を身につけることにつながります。
「新盤科学が突き止めた運のいい人」には、今回紹介した以外にも多くの有用な情報が詰まっています。運の良い人になるための科学的アプローチに興味がある方は、是非この本を手に取ってみてください。きっと、新しい発見と自己成長のきっかけが見つかるはずです。
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