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本当に役立つ栄養学 肥満、病気、老化予防のカギとなる食べものの科学

栄養学

我々が日常生活で知っていることと、まだ知らないことの境界を正確に認識することは、意外と難しいものです。特に食と健康に関する知識は、多くの誤情報や未確認の情報が飛び交う中、真実を見極めることは至難の業と言えます。

今日、私が紹介するのは、佐藤成美さんの『本当に役立つ栄養学:肥満、病気、老化予防のカギとなる食べものの科学』という一冊です。この本は、食べ物と人体の関係についての科学的知識を、非常に分かりやすく解説しています。そして、その背景には著者の独自の視点があります。

佐藤さんは大学で生物学を教えている教授であり、多くの学生たちが食べ物やその体への影響についての真実を知らないことに驚かされました。実際、専門を学んでいる学生でさえ、食に関する基本的な知識や最新の研究結果を正確に理解していないのです。そこから、一般の方々がいかに誤解や不明確な情報に基づいて食事の選択をしているかを考えれば、その必要性は一層増してきます。

この本では、私たちが普段何気なく摂取している食物に関する「科学的に確かなこと」と「まだわかっていないこと」の両方を明確にし、それを基にどう食生活を選択するかの指針を示しています。

さて、具体的にどんな内容が綴られているのか、順を追って紹介していきます。

サプリメント

ビタミンの知識を深めるために、最近注目を浴びているビタミンサプリメントに関する情報を詳しくみてみましょう。

ビタミンとは?
健康や美容を気にする多くの人たちの間で、ビタミンのサプリメント摂取が一般的となっています。サプリメントのラベルを見ると、「ビタミンC」など明確にビタミンとわかる名称もあれば、「パントテン酸」「カルニチン」など、初めて聞く名前も見受けられます。

ビタミンは私たちの体にとって欠かせない成分ですが、主なエネルギー源である糖質、脂質、タンパク質とは異なります。その主要な役割は、体の機能や他の栄養素の働きをサポートすることです。体内で自然に生成されない、または生成量が不足するため、食物からの摂取が必要な有機化合物です。

ビタミンの重要性は、その欠乏によって引き起こされる症状や疾患からも明らかです。例えば、ビタミンCが不足すると壊血病、ビタミンB1の不足は脚気を引き起こします。実際、ビタミンの発見はこうした病気の予防や治療から始まりました。

ビタミンの歴史
1912年、カシミール・フンクというポーランドの科学者が、米ぬかから脚気の予防に役立つ物質を発見しました。彼はこれをラテン語で「生命」という意味の”Vita”と、物質の構造を意味する”Amin”から「Vitamin」と名付けました。

多くのビタミンがその後発見され、化学的な特性に基づいて名前がつけられました。しかし、一般にはビタミンA、ビタミンCなどの名称が一般的です。

注意点
現在、人が摂取する必要があるビタミンは13種類とされています。ビタミンの過剰摂取は、特に脂溶性ビタミンの場合、体内で排泄されずに蓄積し、健康を害することがあります。

ビタミンに関する研究は進行中で、必要量や摂取方法についての議論も続いています。サプリメントに頼りすぎると、食事のバランスが崩れるリスクがあるため、バランスの良い食事を心がけることが重要です。

食物繊維に関する真実


  1. トクホの定義: 「トクホ」とは、特定保健用食品の略称で、健康食品の中でも特定の健康に良い成分を持ち、その安全性と効果が国によって審査され、消費者庁の許可を得て健康効果を表示できる食品です。
  2. トクホの歴史: 1991年に日本で法制化され、その後数は増加し、現在は1000種類以上あります。トクホとして認められた成分の中で最も多いのは食物繊維で、これはお腹の調子を整える効果があるとされています。
  3. 食物繊維の特徴:
  • 50年前までは、栄養的価値が認められていなかった。
  • 1972年、食物繊維が大腸がん予防に役立つ可能性が提唱され、注目を浴びるようになった。
  • 日本人は米国人に比べて食物繊維の摂取量が多いが、大腸がんの発症率は少ない。
  • こんにゃくや寒天のような食物繊維を多く含む食品は、満腹感を得やすく、消化されにくい。
  1. 食物繊維の健康への効果:
  • 血糖値の急激な上昇を抑え、糖尿病予防に役立つ。
  • 便秘の改善や心筋梗塞リスクの低下にも関連があるとされる。
  • 肥満、糖尿病、高血圧、LDLコレステロールの上昇のリスクを低下させる可能性がある。
  1. 日本人の食物繊維摂取量の変化:
  • 1947年頃には平均で27グラム/日だったが、現在は14グラム前後と減少している。
  • 厚生労働省は、2020年の食事摂取基準で男女別の食物繊維の摂取目標量を定め、積極的な摂取を推奨している。

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科学的見解に基づく真実

「科学的見解に基づく真実」を3つの話題について詳しく解説していきます。具体的には、「糖質制限ダイエットのリスク」、「コラーゲンの摂取の効果」、「日本食の健康効果」という3つのポイントを取り上げます。

1つ目のポイント「糖質制限ダイエットのリスク」

糖質制限ダイエットは、近年非常に人気が高まってきました。糖質とは、炭水化物の中でもエネルギー源となるでんぷんや、その構成要素であるブドウ糖を指します。糖質制限ダイエットの流行により、糖質を摂取することが太る原因や健康に悪影響をもたらすというイメージが強まりました。このダイエットの方法としては、食事から主食である米やパンなどの穀物を制限し、糖質の摂取を控えることが推奨されています。この方法はもともと2型糖尿病の患者向けの食事療法として開発され、脂肪の蓄積を減少させる効果があるとされています。特にこのダイエットでは、糖質を制限する一方で、脂質やタンパク質は好きなだけ摂取して良いとされています。

糖質を控えることで、糖質以外の栄養素である脂質やタンパク質をエネルギー源として使用するようになります。とはいえ、私たちの身体は、エネルギーの主要な供給源として糖質を利用しています。特に脳は、脂質をエネルギー源として利用することができません。このため、糖質の摂取を極端に制限すると、血糖値が低下し、脳の機能に支障をきたすことがあります。低血糖は昏睡や最悪の場合、死に至るリスクも考えられます。このような状態を回避するために、肝臓ではグリコーゲンという物質が分解され、エネルギー供給として利用されます。しかし、糖質の摂取が不足すると、このグリコーゲンも半日程度で枯渇してしまいます。

以上のような理由から、糖質制限ダイエットには注意が必要であり、無闇に実践することは推奨されません。

「糖新生」について

「糖新生」は、血糖値が低下する際に働き始める生体の機構で、ブドウ糖を作成して血糖値を維持します。この過程で使用される材料として、筋肉が分解されることで生じるアミノ酸、脂肪細胞の分解から得られるグリセロール、そして酸素の不足下での解糖系により生じる乳酸が挙げられます。

血糖値の低下は、私たちの体にとって非常にリスクが高い状態です。そのため、糖、脂質、アミノ酸の代謝は連携し、この危機を乗り越えるための策を講じます。

糖質制限ダイエットを実践すると、脂肪細胞の分解が進行し、これにより体重減少の効果が期待できます。しかしながら、極端な糖質制限を長期間続けると、筋肉が分解され、体にとって危険な状態に突入する恐れが存在します。

脂肪の分解過程では「ケトン体」と「脂肪酸」が生まれます。ケトン体は、糖質が不足した状態で脂肪をエネルギー源として利用する際に生まれるものです。しかし、極端な糖質制限を持続すると、ケトン体が過剰になり、血液が酸性に傾いてしまう恐れがあります。これは、意識障害や脱水症状を引き起こす原因となります。

加えて、多くの脂肪酸が放出されることで、これがコレステロールの合成に関与し、動脈硬化のリスクが増大する可能性があります。

糖質制限ダイエットの背後にある生体メカニズムは、まだ完全には解明されていません。しかし、糖質制限による減量効果の一因として、ケトン体がエネルギー利用の調節に関与している可能性が指摘されています。反面、長期的な糖質制限は死亡リスクを増加させるとの研究結果も報告されており、このダイエット方法の効果とリスクには賛否が分かれています。

糖質を過剰に摂取している人は、その量を減少させるべきですが、糖質はエネルギー源としての重要な役割を果たしています。したがって、適度な糖質の摂取は必要不可欠です。いかなるダイエットも、過度な取り組みはリスクを伴うため、理解し、慎重に取り組む必要があると考えられます。

第二のポイント:食べるコラーゲンには実際に美肌効果があるのか

コラーゲンに関して、その美肌効果を謳った製品や食品が多数市場に出ています。多くの人々は、コラーゲンを摂取することで肌の健康や美しさが向上すると考えられていますが、その効果の真実について考察します。

初めに、コラーゲンはタンパク質の一種です。食事から摂取したコラーゲンは消化過程でアミノ酸へと分解されます。そして、これらのアミノ酸が体内で再度コラーゲンとして合成されるわけではありません。特に、コラーゲン特有のヒドロキシプロリンは、他のタンパク質の合成には利用されないとされています。

さらに、コラーゲンを主成分とする化粧品を皮膚に塗布した場合、その大きな分子が皮膚から吸収されることは期待できません。最も期待できるのは、皮膚の表面における保湿効果に過ぎないというのが、多くの科学者の見解です。

しかしながら、最近の研究によれば、コラーゲンの効果について新たな知見が明らかになってきました。研究者たちは、動物実験を通じてコラーゲンの効果を詳しく検証しています。その結果、摂取されたコラーゲンの約半分は、ペプチドの形態で吸収されることが判明しました。さらに、このコラーゲン由来のペプチドが、体外で線維芽細胞の増殖を促進することも確認されています。線維芽細胞は皮膚の健康を維持するための重要な細胞で、コラーゲンや他のタンパク質の合成に関与しています。

このような新しい研究結果は、まだ初期段階にあると言えます。コラーゲンの美肌効果についての確固たる結論はまだ導き出されていません。しかし、今後の研究が進展することで、コラーゲンの効果がさらに明らかになる可能性があります。

第三のポイント:日本食の健康効果

日本食には健康への良い影響をもたらすイメージが多くの人に共有されています。実際、伝統的な日本食の成分には、メンタルヘルスの向上に寄与する可能性が指摘されています。特に、北海道大学大学院医学研究院の報告によれば、ごはんと味噌汁を主体とした食事が、メンタルの健康をサポートするという結果が示されました。

具体的に、同研究では40歳以上の278人の男女を対象に食事調査を実施。1か月間の食事内容とメンタルヘルスに関するアンケートを解析しました。結果として、ごはんを主食とする食事が、生活や睡眠の質に良い影響を及ぼすことが確認されました。特に、ごはんと味噌汁の組み合わせは、心の安定や抑うつ傾向の改善に関わるとの結果が得られました。

一方、東北大学の研究グループは、1960年から1990年の間の日本人の食生活の変遷を調査。1975年の食事が、バランスの良い理想的な日本食であったと結論づけられました。さらに、その1975年の食事スタイルが健康的であることも、動物実験や疫学調査から示唆されています。

日本食の特徴として、様々な食材を取り入れる点が挙げられます。この多様性が健康への良好な影響をもたらしていると考えられます。例えば、ごはんとともに摂取する納豆や食事時の緑茶が、健康へのプラス効果をもたらしている可能性があります。

また、宮城県大崎市の調査から、日本食を多く摂取する人は認知症のリスクが低いことが示されました。特に、魚を多く摂取する人は、認知症の発症リスクがさらに低下することが確認されています。

総じて、日本食が健康やメンタルヘルスに良い影響を及ぼす可能性が高いことが示唆されています。それぞれの食材の効果を単独で評価するのは難しいものの、バランスの良い日本食の摂取が健康維持に寄与するという見解が強まってきています。

まとめ

今回のブログでは、以下の5つの主要なポイントを取り上げました。

  1. ビタミンの真実
  2. 食物繊維の真実
  3. 糖質制限ダイエットのリスク
  4. コラーゲンの摂取の意味
  5. 日本食の健康効果

これらのトピックは、私が今回紹介した本『栄養学:肥満、病気、老化予防のための食べ物の科学』からの一部に過ぎません。興味を持たれた方は、詳しく知りたいと思われるかもしれませんので、ぜひリンクから本をチェックしてみてください。今回の情報が皆様の生活に役立つ知識として活用いただければ嬉しいです。

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