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マグネシウムと糖尿病:栄養学が病態を予防する


マグネシウムは、糖尿病予防に欠かせない栄養素となります。しかし、現代のライフスタイルや食習慣の変化により、私たちの摂取量は次第に減少しています。この記事では、マグネシウムが不足する理由とその影響について説明します。

糖尿病の原因

近年、糖尿病の原因としてグルカゴンの過剰分泌が指摘されています。グルカゴンは血糖値を上昇させるホルモンで、その暴走が糖尿病の一因であるとされています。他にも、インスリン抵抗性や臓器、特に膵臓の機能異常、油脂の過剰摂取、糖質の過剰摂取、ストレス、睡眠不足などが糖尿病の発症に関与しています。

マグネシウムと糖尿病

糖尿病の原因の一つとして、マグネシウム欠乏が挙げられることがあります。2型糖尿病患者は、マグネシウムが不足していることが多く、世界各国からその報告があります。健常者と比較して、糖尿病患者のマグネシウムレベルは一貫して低い傾向にあります。

マグネシウムがグルカゴンの分泌を抑える

マグネシウムは、グルカゴンの過剰な放出を抑制することがわかっています。私たちが適量のマグネシウムを摂取すると、膵臓のアルファ細胞から分泌されるグルカゴンの過剰分泌が抑制されます。また、ベータ細胞から分泌されるインスリンの分泌も支援します。インスリンは血糖を下げるホルモンですから、これにより血糖のコントロールが可能となります。

なぜ現代人、特に糖尿病患者はマグネシウムが欠乏するのか?

現代人、特に糖尿病患者がマグネシウムを欠乏する理由は大きく分けて二つあります。一つは、マグネシウムの摂取不足。もう一つは、マグネシウムの過剰な排泄です。

マグネシウムの摂取不足

一つ目の理由、マグネシウムの摂取不足については、現代の食生活によるものが大きいです。特に穀物の摂取習慣が減少したこと、そして穀物の種類が変化したことが影響しています。昔の日本人は雑穀を多く食べていましたが、雑穀にはマグネシウムが豊富に含まれています。また、野菜や豆類もマグネシウムが多いです。しかし、戦後の経済成長と共に高脂肪・高タンパクの食生活が増え、全粒穀物や根菜、豆類の摂取が減りました。これがマグネシウム摂取不足につながっています。

マグネシウムの過剰排泄

二つ目の理由、マグネシウムの過剰な排泄については、様々な要因が考えられます。ストレス過多が一つで、精神的なストレスはマグネシウムの排泄を高めます。高脂肪・高タンパクの食生活もマグネシウムの排泄を増やします。さらに、低血糖症の人は、アドレナリンなどのカテコラミンを多く出し、これがマグネシウムの消費を増やします。

これらの要素が組み合わさることで、マグネシウムの摂取不足と過剰な排泄が起こり、マグネシウム欠乏が発生しています。

マグネシウム摂取と糖尿病発症率の関連性

世界的な研究により、マグネシウム摂取量と糖尿病発症率との関連性が明らかにされています。これらの研究から、マグネシウム摂取量が多いほど、糖尿病の発症リスクが低下することが示されています。マグネシウム摂取が増えるほど糖尿病発症率が下がるというこの結果は、マグネシウムが糖尿病予防に大変重要なミネラルであることを示しています。

マグネシウムの重要性

マグネシウムは、血糖調整に大きな役割を持つホルモン、グルカゴンの放出を抑制します。そして、インスリンの効果を高め、血糖値の安定に寄与します。グルカゴンは血糖値を上昇させるホルモンで、必要な場面では非常に有用です。しかし、このグルカゴンが暴走すると問題となり、ここにマグネシウムの力が必要となります。マグネシウムはグルカゴンの暴走を抑制し、適切な血糖値のコントロールを可能にします。

マグネシウムは私たちの体のエネルギー代謝、特に糖質代謝において重要な役割を果たします。食事から摂取した糖質は、複数の化学反応を経てエネルギーに変わりますが、その過程で何度もマグネシウムが使われます。もしマグネシウムが不足していれば、エネルギー代謝がうまくいかず、体内のエネルギーが不足し、さらに高血糖の原因になります。

また、マグネシウムはインスリンの働きを助ける役割も果たします。

インスリンは血糖を下げる効果がありますが、その効果を発揮するためにはインスリン受容体への結合が必要です。マグネシウムはインスリン受容体への結合を助け、インスリンの働きを高めます。マグネシウムが不足すると、インスリンの効きが悪くなり、結果的に血糖値が上昇します。

したがって、現代人は一日に最低でも350mgのマグネシウムを摂取すべきです。マグネシウムは海藻類や豆類、穀物、野菜、種子、ナッツなどに多く含まれています。特に海藻類や緑色の野菜は、その色の由来となるクロロフィールの中心部にマグネシウムが存在するため、積極的に摂取すると良いでしょう。

結論

現代は飽食の時代で、食べ過ぎが問題となっています。その中でグルカゴンが過剰に分泌されると、糖尿病が発症する可能性があります。しかし、マグネシウムを適量摂取することで、グルカゴンの暴走を抑制することができます。これは、私たちの生活習慣を改善し、糖尿病を予防するための一つの手段と言えるでしょう。

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