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カルシウムが健康に与える影響とは?驚きの効果を徹底解説!

栄養学

カルシウムの働きを徹底解説

カルシウムは体の中でたくさんあるミネラルで、体重の1%から2%くらいを占めています。このカルシウムのほとんど(99%)は歯や骨にあって、残り1%は血液や体の液体の中でいろいろな働きをしています。カルシウムと言えば、骨とすぐに関連するイメージがありますが、実は筋肉の動きや神経の働き、体の液体の酸性度を整えることや、血液が固まることなど、いろんなことに関わっています。だから、体の中で足りなくならないように、骨にたくさんためておくんです。カルシウムが骨や歯を作ることはよく知られていますが、他にも大切な働きがあるので、それについてもお話ししましょう。

カルシウムが筋肉を動かす

カルシウムが筋肉を動かす方法を簡単に説明しますね。筋肉は脳から「動いて!」という命令を受けると、カルシウムが細胞の中から出てきます。そして、カルシウムが特別なたんぱく質にくっついて、筋肉の動きを始めさせるのです。

カルシウムが足りないと、筋肉がうまく動かなくなってしまいます。とてもひどくなると、筋肉がけいれんしたり、手足がしびれたり固まったりすることがあります。これを「テタニー」と言います

ちなみに、コーヒーなどに含まれるカフェインを飲むと筋力がアップすることがあります。これは、カフェインが筋肉の中で筋小胞体に働いてカルシウムを増やす働きがあるからです。

メッセンジャーとしてのカルシウム

細胞の中で情報を伝えるとき、伝える物質(メッセンジャー)が必要です。しかし、すべてのメッセンジャーが細胞の壁を通過できるわけではありません。特に、水に溶けるメッセンジャーは細胞の壁を通れないので、細胞の中で別のメッセンジャーを作る必要があります。この新しいメッセンジャーを「セカンドメッセンジャー」と呼びます。

セカンドメッセンジャーにはいくつかの種類がありますが、カルシウムイオンもそのうちの一つです。カルシウムイオンは、「カルモジュリン」という特別なたんぱく質と結びつくことがあります。カルモジュリンは、炎症や細胞の死、筋肉の動き、記憶、神経の成長、免疫反応など、たくさんの体の働きに関わっています。

カルシウムイオンがカルモジュリンに結びつくと、カルモジュリンの形が変わって活性化します。そして、活性化したカルモジュリンがさまざまな働きを行うようになります。このように、カルシウムイオンは細胞内で情報を伝える大切な役割を果たしているのです。

止血作用としてのカルシウム

怪我をして出血したとき、血液が止まる仕組みがあります。まず、血小板という小さな血の成分が集まってきて、出血している部分をふさいで応急処置をします。これにより、血管の壁の傷が修復されるようになります。

その後、血液が固まるために「フィブリン」という物質が血小板と絡み合います。この固まる反応を「凝固系」と呼びます。凝固系では、「凝固因子」という物質が重要な役割を果たします。

カルシウムイオンも凝固因子の一つで、血液が固まるために必要です。カルシウムイオンがなければ、フィブリンが作られず、血液は固まらなくなってしまいます。つまり、カルシウムイオンは血液が適切に止まるために重要な役割を果たしているのです。

骨の成分カルシウムとビタミンD

カルシウムは、私たちの体にとって重要な栄養素で、小腸で吸収されます。ビタミンDがたくさんあると、カルシウムの吸収がより効率的になります。血液中のカルシウム濃度は、健康を保つために一定の範囲に保たれています。

カルシウム濃度が低くなると、副甲状腺ホルモン(パラソルモン)が出てきて、骨からカルシウムを取り出して血液中のカルシウム濃度を上げます。また、パラソルモンは、カルシウムの吸収を助ける活性型ビタミンDを作る働きもあります。

逆にカルシウム濃度が高くなると、甲状腺からカルシトニンというホルモンが出ます。カルシトニンは、骨からのカルシウムの放出を抑え、骨にカルシウムをため込む働きがあります。

女性ホルモン(エストロゲン)は、パラソルモンを抑制する働きがあります。閉経後、女性ホルモンの量が減ると、パラソルモンの抑制が弱まり、骨からカルシウムが取り出されやすくなり、骨がもろくなる(骨粗しょう症)リスクが高まります。

過度なトレーニングやダイエットによって無月経になる女性アスリートの場合、骨が弱くなる可能性が高まります。このような状態は、骨の健康に注意を払うことが重要です。

カルシウムパラドックス

カルシウム摂取量が不足すると、副甲状腺ホルモン(パラソルモン)が分泌され、骨からカルシウムが放出されます。しかし、カルシウムの放出は必要量よりも多くなることがあり、余ったカルシウムは血管に沈着し、動脈硬化や関節の石灰化、痛みを引き起こすことがあります。これを防ぐためには、若いころからカルシウム不足にならないように注意が必要です。ただし、過剰な摂取も問題です。

実際に、カルシウム摂取量が多い地域では、骨折や骨粗しょう症の発生率が高いことが分かっています。カルシウム摂取量を増やしても、骨折リスクの低減には繋がらないことが報告されています。これはサプリメントだけでなく、乳製品や食事からのビタミンD摂取にも当てはまります。ただし、骨密度が僅かに高くなることも報告されています。

さらに、カルシウム摂取によって心臓血管系の疾患リスクが高くなるという報告もあります。これらの逆説的な現象は、「カルシウム・パラドックス」と呼ばれています。

このような理由から、カルシウムの摂取は適切な量を心がけることが重要です。過剰摂取や不足による健康リスクを避けるために、バランスの良い食事と適切な栄養摂取が大切です。

カルシウムと筋力低下

細胞内には、ナトリウムイオンとカリウムイオンが移動する「ナトリウムポンプ」と、ナトリウムイオンとカルシウムイオンが移動する「ナトリウム/カルシウム交換チャネル(NCX)」という経路が存在します。このNCXは、ナトリウムイオンを細胞内に取り込み、カルシウムイオンを細胞外に排出する機能を持っています。ただし、細胞内のナトリウムイオンが多い時は逆の働きをして、カルシウムイオンを細胞内に取り込み、ナトリウムイオンを細胞外に排出します。

「ポンプ」はエネルギー(ATP)を使って物質を濃度勾配に逆らって移動させるもので、「チャネル」はエネルギーを使わず、濃度勾配に従って物質が移動するものです。

筋肉が収縮する際、筋小胞体(筋細胞内の構造)からカルシウムイオンが放出されます。この放出は「カルシウムチャネル」を通じて行われ、カルシウムイオンが筋小胞体に戻るときは「カルシウムポンプ」を通じて戻ります。この過程ではATPとマグネシウムが必要です。

筋肉収縮時には、筋小胞体からカルシウムイオンが放出され、細胞内のカルシウム濃度が高くなります。元の状態に戻す方法は2つあり、筋小胞体のカルシウムポンプを通じて筋小胞体に戻るか、ナトリウム/カルシウム交換チャネルを通じて細胞外に排出されます。

加齢に伴う筋力の低下は、筋小胞体からのカルシウムイオン放出が減少することが原因だとされています。筋小胞体からカルシウムイオンが放出される際、「リアノジン受容体(カルシウム放出チャネル)」が関与しますが、これを安定化するタンパク質「カルスタビン1」が活性酸素によって損傷すると、カルシウムイオンの放出が不十分になり、筋力が低下します。抗酸化酵素であるカタラーゼをミトコンドリアに発現させると、カルシウムイオンの漏出が減少し、筋力が改善されることが示されています。これは、活性酸素を取り除くスカベンジャー(抗酸化物質)を摂取することで、加齢による筋力低下を防ぐ可能性があることを示唆しています。

要約すると、細胞内には物質を移動させる「ポンプ」と「チャネル」があり、筋肉収縮時にカルシウムイオンが筋小胞体から放出され、細胞内のカルシウム濃度が高くなります。その後、カルシウムイオンは筋小胞体のカルシウムポンプを通じて元の場所に戻るか、ナトリウム/カルシウム交換チャネルを通じて細胞外に排出されます。加齢による筋力低下は、筋小胞体からのカルシウムイオン放出が減少することが原因とされており、抗酸化物質の摂取が筋力低下の予防に役立つ可能性があります。

カルシウムの摂取量

カルシウムの必要性については理解できたと思いますが、摂取量が多すぎても良くないことはカルシウム・パラドックスで説明しました。では、1日にどのくらいのカルシウムを摂れば良いのでしょうか。

2013年の国民健康・栄養調査によると、男性は1日平均520mg、女性は平均489mgのカルシウムを摂取しています。しかし、厚生労働省の推奨摂取量は、男性は年齢によって1000mg~650mg、女性は800mg~650mgです。つまり、現状では「食事からのカルシウム摂取だけでは不足している」ということです。

カルシウム摂取量が増えると、大腸がんリスクが低下するという報告がありますが、前立腺がんリスクは増えるとも言われています。また、カルシウムとビタミンDが含まれたオレンジジュースを飲むことで、内臓脂肪が減少するという報告もあります。

カルシウム摂取量が体脂肪減少に関与するメカニズムはまだよくわかっていませんが、カルシウムが不足すると、脂肪酸合成が促進されることが示唆されています。カルシウム摂取不足は、血圧やウエストサイズ、インスリン抵抗性の増加や糖尿病発症リスク上昇、HDLコレステロールの減少と関連しているとされています。

カルシウムとビタミンDを同時に摂取することで、骨折リスクが減少する可能性があります。1日に1200mgのカルシウムと800IUのビタミンDが推奨されています。厚生労働省の定める「耐容上限量」は1日2500mgです。これまでの研究から考えて、1日のカルシウム摂取量は1000mg前後が適切とされています。

現状の食事からの摂取量を考慮すると、サプリメントで1日に200~300mg程度のカルシウムを補い、ビタミンDを1日に1000~2000IU摂取することがおすすめです。また、カルシウムはマグネシウムとのバランスが重要なため、マグネシ

シウムと一緒に摂取することが望ましいです。

カルシウムは乳製品、小魚、海藻類、切り干し大根、凍り豆腐などに多く含まれています。ただし、玄米に含まれるフィチン酸や、ホウレンソウに含まれるシュウ酸はカルシウムの吸収を妨げるため、過剰摂取は避けましょう。

ホエイプロテインにもカルシウムが含まれており、製造方法によって異なりますが、約100gあたり250~400mgのカルシウムが含まれています。プロテインを大量に摂取している場合は、カルシウムのサプリメントは必要ないかもしれません。

サプリメントとして摂取する場合、クエン酸カルシウムや酢酸カルシウムは吸収されやすい一方で、炭酸カルシウムは吸収されにくいことが知られています。

要約すると、1日の適切なカルシウム摂取量は1000mg前後であり、現状の食事からの摂取量だけでは不足していることがわかります。カルシウムの摂取量を増やすことで、健康状態が改善される可能性がありますが、過剰摂取には注意が必要です。カルシウムはビタミンDやマグネシウムと一緒に摂取することが望ましく、適切な摂取量を維持することで、健康に良い影響が期待できます。

まとめ

カルシウムはとても大切なミネラルの一つですが、取り方を間違えると逆に悪影響を及ぼしたり、吸収されなかったりします。

そうならないように、このブログをしっかり読んでくださいね!

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