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卵の栄養学:理想的なタンパク質源とその健康効果を解説

栄養学

本日のトピックは、「卵の栄養学」です。ここでは、卵の栄養と、その健康的な摂取方法について、科学的な視点から掘り下げていきます。

私たちの体は、さまざまな栄養素で構成されていますが、その中でも特に重要なのが「タンパク質」です。タンパク質は私たちの体を形成する素材であるだけでなく、体内の化学反応を進行させる「酵素」の中心的な役割を担っています。だからこそ、タンパク質を日々適量摂取することは非常に重要です。逆に言えば、タンパク質を適切に摂取しないと、私たちの体内での生化学的な反応がうまく進まず、体調を崩す可能性があります。

しかし、タンパク質摂取というとなかなか難しい問題もあります。

単純に量を多く摂ればいいわけではなく、種類によっても摂取すべき量が変わるからです。例えば、あまりにもタンパク質を摂り過ぎると、心臓疾患のリスクが上がるという研究結果もありますし、摂取するタンパク質の種類によっては、様々な慢性疾患のリスクが上がることも知られています。

そんなタンパク質摂取の問題を解決するための一助となるのが、「卵」です。卵は非常に良質なタンパク質源であり、適切に摂取することで健康維持に大いに役立ちます。

それでは、詳しく「卵の栄養学」について解説していきましょう。

卵のタンパク質量

まず、卵の栄養価に注目してみましょう。卵と言えば、その高いタンパク質含有量が特徴的です。たとえば、Mサイズの卵1個(約50グラム)には約6.2グラムのタンパク質が含まれています。体重60kgの人が1日に必要なタンパク質はおおよそ60gとされているので、その約10%を単独で卵から摂取することができるというわけです。これは、卵が非常に有用な動物性タンパク質源であることを示しています。

また、卵は他の動物性タンパク質源と比較しても、コストパフォーマンスが優れています。100g当たりのタンパク質量を比べると、卵は非常にコスト効率が良いです。例えば、卵は約20円で約12.4gのタンパク質が得られますが、豚肉や鶏肉と比較するとその価格は大幅に上昇します。これにより、卵は高タンパクでありながらも非常に経済的に摂取できるということが分かります。

そして、アミノ酸スコアについて見てみましょう。アミノ酸スコアは、タンパク質が含むアミノ酸のバランスを評価する指標で、卵は100点満点という評価を受けています。牛肉や豚肉と同じく、卵は高品質なタンパク質源といえます。タンパク質は様々なアミノ酸が結合してできるので、そのバランスが重要になります。卵は、必須アミノ酸のバランスが非常に良く、この点で100点を獲得しています。

さらに卵は、タンパク質の消化吸収率が90%から94%と、非常に高いという特徴があります。これは他の主要なタンパク質源の中でも最も高いレベルです。このように、卵はタンパク質の吸収利用率が良く、低コストで手に入るという理由から非常に重宝されています。

特に、若い女性から年配の方々まで、タンパク質の摂取が不足しがちな人々にとって、卵はとても役立つ食品です。年を重ねると、脂っこい食物が苦手になる方も増えますが、そういった方々にとって卵は栄養状態を改善する上で非常に有用な食品と言えるでしょう。つまり、卵は消化吸収率が良く、コスパが良いため、健康的な食事の選択肢として非常にお勧めです。

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卵の栄養素

さらに卵に含まれるビタミンやミネラルについて詳しく見ていきましょう。卵1個で1日に必要な栄養素の推奨摂取量(RDI)がどれほど満たされるかに注目します。例えば、鉄は卵1個だけで一日の必要量の約13.8%を摂取することができます。

特に注目すべきなのがセレンというミネラルです。セレンは非常に重要な役割を果たしており、日本人は特にこのミネラルを不足しがちです。しかし、卵1個で1日の必要量の約64%も摂取することができます。これは非常に素晴らしいことであり、卵の栄養価をさらに高めています。

また、卵は脂溶性ビタミンであるビタミンAとビタミンDも豊富に含んでいます。ビタミンAは卵1個で1日の必要量の約10.7%、ビタミンDは約16.4%を摂取することができます。これらのビタミンは身体の健康維持に不可欠で、卵はそれらを摂取する優れた食材です。

さらに、卵にはビタミンB群も含まれています。ビタミンB2、B12、パントテン酸、ビオチン等の各ビタミンについて見ると、それぞれが1日の推奨摂取量の16%から25%を卵1個で摂取できます。これにより、卵はコストパフォーマンスの良い栄養サプリメントともいえるでしょう。

これらの情報から、卵は非常に価値のある食材であることが分かります。豊富なビタミンとミネラル、高タンパク質、そしてそれらが安価に得られるという特性から、卵は健康的な食事の選択肢として非常に推奨されます。

コレステロールについて

卵のコレステロール含有量について触れています。皆さんが気になるのは、卵のコレステロール含有量が体に影響を及ぼすかどうか、という問題でしょう。確かに、卵はタンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富ですが、一方でコレステロールも多いとされています。

このことが心配な方も多いかもしれませんが、結論から言うと、卵に含まれるコレステロールは問題ないと言えます。例えば、卵Mサイズ1個(約50グラム)には約210ミリグラムのコレステロールが含まれています。これは他の食品と比べても多いです。

しかし、コレステロールには体内で重要な役割を果たすものもあります。主な役割としては、細胞膜の構成成分として、ステロイドホルモンやビタミンDの原料として、そして消化のための胆汁酸の生成に関与するなど、多岐にわたります。

最近の研究では、粘膜細胞を結びつける「タイトジャンクション」の形成にもコレステロールが必要であることがわかっています。これは、粘膜細胞がしっかりと結びついていないと、炎症が起きやすくなったり、下痢をしやすかったり、アレルギー体質になりやすいという問題が生じます。

このように、コレステロールは体内で非常に重要な役割を果たしているため、一概に「悪い」とは言えません。実際、体内で必要とされるコレステロールの約80%は、自身の体内で生成されています。

アメリカの食事ガイドラインでも、2015年以降、コレステロールの過剰摂取は問題ではないとされています。なぜなら、食事から摂取するコレステロールと血中のコレステロール濃度との間には明確な因果関係が認められないからです。つまり、コレステロールを多く含む食品を摂取しても、必ずしも血中のコレステロール値が上がるわけではないということです。

したがって、卵のコレステロールについて過度に心配する必要はないと言えます。

コレステロールと血管疾患

皆さんが心配されることの一つに、卵に含まれるコレステロールが心臓病や脳卒中などの心血管疾患リスクに関係しているという認識があるかもしれません。これは一部正しく、この点については後ほど詳しく説明いたします。しかしながら、日常生活で卵から摂取するコレステロールについて過度に懸念する必要はありません。

実際、コレステロールの生成は体内で行われ、その主な原料は「アセチルCoA」という物質です。この物質からコレステロールが生み出されます。もし体内でコレステロールが過剰に生成された場合、体は「ネガティブフィードバック」という制御機構を使ってコレステロールの合成を停止します。つまり、体内のコレステロールが過多になると、体は自身でこれ以上のコレステロール生成を制限する信号を出します。これは、体内のコレステロールが適切に管理されていることを示しています。

体内で生成されるコレステロールの大部分(約80%)は体自身で生成され、残りの20%は食物から摂取する必要があります。卵から摂取するコレステロールに関して言えば、一日に2個から3個の卵を摂取しても、必要なコレステロールの20%を満たすことはまずないです。そのため、卵から摂取するコレステロールの量については安心していただいて構いません。

卵の調理法

ここでは、卵の調理法とその効率的な摂取について考察します。単純に卵を食べれば良いというわけではなく、体にとって最も有効な形で栄養を摂取することが理想です。そのため、卵の調理法は非常に重要となります。

調理法が摂取効率に影響を与えることは、ベルギーの研究でも示されています。生卵の消化率は約51%に過ぎませんが、加熱調理された卵の消化率は91%にまで上がるとの結果があります。つまり、調理法はタンパク質やその他の栄養素の消化・吸収率、利用率に大きく影響を与えます。

例えば、卵の白身部分に含まれるタンパク質「アビジン」と、黄身に含まれるビタミン「ビオチン」の結合は、非常に強固です。この結合があると、消化酵素で分解するのが難しくなり、結果としてビオチンの利用率が下がってしまいます。しかし、白身部分を適切に加熱すれば、ビオチンの吸収が阻害されることはありません。

一方で、卵の黄身部分は生に近い、あるいは半熟状態の方が消化率が良いと言われています。例えば、半熟卵は12時間以内に消化されますが、完全に加熱されたオムレツ状態では消化に3時間以上かかるとの研究結果もあります。

さらに、卵を加熱調理すると、コレステロールから酸化コレステロールが生成されることが知られています。血液中の酸化コレステロールが増えると、心血管疾患のリスクが高まる可能性があります。一方で、半熟卵の場合、酸化コレステロールが生成されにくいとも言われています。

また、卵を長時間高温で調理すると、栄養価が逆に下がってしまいます。長時間の加熱調理により、ビタミンAが約17-20%減少し、抗酸化物質の量も減少します。さらに、高温で長時間加熱すると、ビタミンDが約61%も失われます。しかし、短時間の調理ではビタミンDの損失は18%にとどまります。

これらを考慮すると、半熟卵の摂取が最も適していると言えるでしょう。調理時間を長くしすぎると、ビタミンや他の栄養素の栄養価が低下する可能性があります。よって、効率的な卵の摂取法としては、適切に加熱した半熟卵が理想的と言えます。

卵の摂取量

以下に卵の摂取量について解説します。我々が必要とする量は、一日につき約3から5個の卵となります。この推奨摂取量は特に日本の文脈に基づいています。海外の疫学調査を検討すると、1日に3個以上の卵を摂取すると心臓疾患のリスクが上昇するとの結果が見られます。

このリスク上昇の理由として、卵のコリン含有量が関わっているとされています。コリンは、我々の体内で最大の供給源となりますが、腸内細菌によってトリメチルアミン(TMA)という有害な物質に変換されやすいのです。コリンは我々の脳機能にとって非常に重要な成分であり、脳の機能に特化した栄養素ともいえます。しかし、過剰摂取によって腸内細菌がTMAを作りやすくなると、神経疾患のリスク上昇や大腸がんのリスクがあるとされています。

そのため、健康な人に対しては、卵の摂取量は1日に1個から3個程度に抑えておくのが適切とされています。しかし、興味深い研究結果も存在します。菜食主義に近い食事を摂っている人々は、卵を多量に摂取してもTMAが生成されにくいと報告されています。これはおそらく腸内細菌のバランスによるもので、プロバイオティックスや多くの野菜を摂取している人々は腸内環境が良好なため、コリンを多く摂取してもTMAがそれほど生成されないと推測されています。

このような視点から、1日に1個から3個の卵を摂取することは安全範囲内といえるでしょう。まとめますと、卵はタンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれ、アミノ酸スコアが100点満点であることを認識しておきましょう。また、卵のコレステロールについてはあまり心配する必要はないとされています。半熟卵は利用率が最も高く、栄養素の損失が最小限に抑えられるため最適です。しかし、過剰摂取は心血管疾患のリスク上昇と相関がありますので、1日に1個から3個の卵を摂取することを目安にすると良いでしょう。

まとめ

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