
今回は、一石英一郎さんが書かれた最新の研究で分かった「人生を支配する真実:全て遺伝子のせいだった」という本を解説します。今回の目次は以下の通りです。
- 幸福度が低いのは遺伝子のせい
- 遺伝子を鍛えるには?
という順番で解説していきます。


背格好や顔立ちなどが遺伝によって決まっていると言われれば、納得できる人も多いと思いますが、実は最近では「浮気しやすい」「ギャンブルしやすい」といった性質でさえ遺伝子による影響があることが分かってきています。人生は遺伝子で決まっていると言われると、自分では何をしても無駄だと思ってしまいそうなところですが、著者は「後天的に遺伝子は鍛えられる」と言います。本当なのか気になるところですよね。それでは早速紹介していきます。
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1. 幸福度が低いのは遺伝子のせい。
ここでは2つのポイント、「日本人の幸福度ランキングが低いのは遺伝子のせいだった」「諦めるな、遺伝子は鍛えられる」について解説していきます。
まず、1つ目のポイント「日本人の幸福度ランキングが低いのは遺伝子のせいだった」。世界幸福度ランキングという指標を、国連の持続可能な開発ソリューションネットワークが毎年3月に発表しています。生活の現状を「満足」と思うかといった質問や、1人当たりGDP、社会支援制度、健康寿命、社会の自由さ、国への信頼度といったデータも加味したランキングです。
トップ10の常連は北欧諸国で、主な先進国はドイツが14位、カナダが15位、アメリカが16位、イギリスが17位、フランスが20位と20位までに入っています。ところが、日本は54位です。韓国も59位で、目立って低い状態です。日本と韓国は経済的に豊かなのに、どうして国民は自分のことをあまり幸せだと思っていないのでしょうか?
国境の紛争が絶えないイスラエルはなんと9位。世界的に難民問題が有名なコソボは32位と、とても平和な日本よりも幸福度が高くなっています。平和な国よりもそうとは言えない国の方が幸福度が高いというのは、少し納得しづらいと思います。実は、そこに遺伝子が関係している可能性があります。
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日本人はセロトニン濃度が低いs
日本人の7割近くの人が、他国と比べてセロトニンの脳内濃度が低いとされています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれている神経伝達物質で、世界幸福度ランキングで日本がいつも低いのはセロトニンが関係している可能性があるのです。そして、セロトニンには遺伝子が関係しています。
セロトニントランスポーター遺伝子は、名前の通りセロトニンの運び屋で、この遺伝子が長いか短いかでセロトニンの運び方が変わってきます。この遺伝子が長いタイプは、セロトニンをうまく効率よく運ぶので、脳内セロトニンが高くなる傾向があります。これを「LL型」と言います。Lはロングの意味です。逆に、この遺伝子が短いタイプは、十分にセロトニンを運べず、脳内セロトニンが低い傾向となります。これが「SS型」です。Sはショートを意味しています。この中間に「SL型」があります。
LL型とSS型については、次のようなことが知られています。日本人は、セロトニントランスポーター遺伝子がSS型の人がとても多く、68.2%の日本人がSS型と報告されています。この値は世界で1番比率が高い。逆に、日本人はLL型の人がとても少なく、1.7%と報告されています。LL型はヨーロッパ人に多く、アメリカ人もLL型の人が多い。
また、LL型とSS型の違いは性格や感情面の違いに現れます。SS型の人には、不安を感じやすい、心配性である、敏感である、注意深く慎重である、自分への害を恐れリスクを回避する、損害回避能力が高い、思いつきで即座に行動をすることが少ない、物事を悲観的に捉えがち、自分に自信がない、内気で人見知りの傾向が強い、という特徴が多いことが性格テストから分かっています。こんな傾向にある人はSS型の遺伝子を持っている可能性があり、幸せを感じにくい傾向にあると言えるわけです。


諦めるな、遺伝子は鍛えられる
では続いて、2つ目のポイント「諦めるな、遺伝子は鍛えられる」。
福井大学の研究グループとアメリカのエモリー大学医学部との共同研究によると、不適切な教育や虐待などを受けて育った子供は、同じ年代の一般的な子供に比べてオキシトシンの設計となる遺伝子配列の一部が化学的に修飾され、オキシトシンの作用の仕方が異なっている可能性があると分かりました。人のDNAは、DNAメチル化という変化を起こすことがあります。この変化が起こると、その遺伝子は存在しているのに使えなくなってしまいます。
例えば、がん抑制遺伝子がDNAメチル化で働かなくなると、がん遺伝子が働きっぱなしになります。分かりやすく言えば、DNAメチル化でその遺伝子が「眠ってしまう」わけです。DNAメチル化のように、遺伝子配列そのものは変わらないものの、何らかの影響で働きが変わることを「遺伝子の修飾」と呼びます。環境に影響された後天的なもので、元に戻る場合もあります。遺伝子の修飾は、遺伝子の働く・働かない(オンオフ)を切り替えるスイッチのようなものです。
ここが著者が伝えたいポイントです。遺伝子そのものの配列は変わらずとも、後天的な修飾で働きを変えることができる。だから、遺伝子は鍛えられる。積極的に鍛えようと、著者は繰り返し言っています。
エピジェネティクス:どんどん歩いて遺伝子を鍛えよう
では次に、遺伝子を鍛えるにはどうすればいいか。この章では3つのポイントを解説します。


1つ目のポイント「エピジェネティクス:どんどん歩いて遺伝子を鍛えよう」。
遺伝子はDNA配列を変えずに修飾され、働きを変えることがあるという話を第1章でしました。生まれつき不変である遺伝子の働きが後で変わること、またはその研究のことを「エピジェネティクス」と言います。今、世界で多くの研究者に注目され、急速に発展している学問分野です。
では、遺伝子を鍛え、その働きを望ましい方向に変えていくには具体的にどうすればいいのでしょうか?次の項目で紹介していきます。
どんどん歩いて遺伝子を鍛えよう
というわけで、2つ目のポイント「どんどん歩いて遺伝子を鍛えよう」。
ウォーキングを日課にしている方は、知らず知らずのうちに遺伝子を鍛えている人なのだと著者は言います。ベートーベンは散歩が日課で、歩きながら構想を練りました。哲学者カントも午後決まった時間に散歩に出ました。哲学者はギリシャ時代から歩いていたと言われています。対話や問答こそ、真理にたどり着く方法だと考えたソクラテスは、運動場を行き来する若者を捕まえては議論をしていたそうです。
最近では、歩くことで脳が活性化されるという本も増えてきました。運動して移動するためには、脳は羅針盤のような役割を果たし、原始時代から脳は運動して移動するために進化してきたと言われています。この脳と運動の関係を見直そうという流れも生まれています。歩くと何かひらめくというのは、昔から当たり前のことだったのかもしれません。
人は直立二足歩行によって脳を大きくし、同時に人類特有の進化を遂げ、脳を元気にしたのだと著者は考えています。歩くこと、ウォーキングは老若男女を問わず手軽にできる素晴らしい運動です。どんどん歩いて遺伝子を鍛え、脳を活性化させていきましょう。


和食が日本人の遺伝子を鍛えてきた
では続いて、3つ目のポイント「和食が日本人の遺伝子を鍛えてきた」。
次は食の話です。日本人が昔から食べてきた和食には、遺伝子を鍛える効果を持つものがたくさんあるのだと著者は言います。和食の基本「孫は優しい」という言葉があります。豆、ゴマ、ワカメ、野菜、魚、椎茸類、芋類の頭文字を取ったものです。例えば、豆では味噌、醤油、納豆、豆腐、練り豆腐、おから、豆乳、きなこ、油揚げ、がんもどき、もやし、枝豆といったものが候補に上がります。
日本では、春は山菜やタケノコ、夏はスイカやトウモロコシ、秋はキノコ、冬は白菜やみかんと、四季折々の旬の食材を楽しみに食べる人が多いです。正月には七草粥と言って、雑草のような野草まで粥に入れて食べる習慣もあります。このように様々なものを食べることで、日本にある食材は1万2000種と言われ、世界一の種類の豊富さを誇ります。
「日本の食生活全集」という書籍シリーズは、全国300地点、5000人からの聞き書きで5万2000点の料理を収録しています。この全集に載っている料理を毎食1つずつ食べたら、48年もかかってしまう量です。このように、日本人が昔から食べてきたものを何でも食べるのが良いのだと著者は言います。
というのも、実は日本人は筋肉量が少ない遺伝子や、肥満になりやすい遺伝子を持っており、心臓病やがんなどにもかかりやすい体質を持っています。それにも関わらず、日本の健康寿命は2019年に男女平均で世界トップクラスです。その背景にあるのが、和食を中心としたバランスの良い食生活が日本人の遺伝子を鍛え上げたと考えられています。
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まとめ
最後に内容をまとめます。
- 幸福度が低いのは遺伝子のせい
- 遺伝子は鍛えられる
という順番で解説しました。
今回紹介した本『最新の研究で分かった 人生を支配する真実:全て遺伝子のせいだった』について、まだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください。
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