
私たちの身体は、数多くのビタミンやミネラルを必要としています。それぞれが特定の機能を持ち、私たちが健康で活動的でいられるように支えてくれています。今日は、その中でも特に重要な役割を果たすビタミン、ビタミンB5について詳しく見ていきましょう。
ビタミンB5は、パントテン酸とも呼ばれ、水溶性ビタミンの一つです。
このビタミンは私たちの体がエネルギーを生産し、正常な身体機能を維持するために不可欠です。さらに、ビタミンB5は細胞の成長や発達、さらには細胞間の通信を助ける役割も果たします。
しかし、ビタミンB5の役割はそれだけではありません。
ビタミンB5が不足すると、何が起こるのでしょうか?
また、私たちはどのようにしてビタミンB5を適量摂取することができるのでしょうか?
ビタミンB5の全てを深く探求していきます。
ビタミンB5不足チェックリスト
こんな症状があればビタミンB5(パントテン酸)不足かもしれません。
- 皮膚の状態が悪化、保水性や弾力性が低下、皮膚がただれる。
- 手足のしびれ、足のほてり。
- 視力の低下、緑内障。
- 早期の白髪や脱毛。
- 皮膚のアレルギー症状がひどい。
- 排尿困難、痛風。
- 昼間から居眠りする、怒りっぽい、喧嘩早い。
- 抗体産生減少、免疫力低下。
- だるい、疲れやすい。
- 副腎が弱る、激しい疲労。
- 元気がない、解毒力が低下。
- 容易に感染しやすい。
- 血圧が低下し、不安定、疲れやすい。
- 胃が弱る、二指腸潰瘍。
- ストレスに弱くなる。
- 結合組織が弱る、呼吸器感染に悩む。
- 急性の咽頭炎を起しやすい。
- 病気、傷の治りが遅れる。
ビタミンB5の働き
ビタミンB5とは、私たちの体が正常に機能するために重要な栄養素です。主に補酵素A(CoA)やアシル運搬蛋白(ACP)という形で活動します。その具体的な働きについては次の通りです。
- エネルギー源となる活性酢酸を作り出します。これがあれば、身体は活動するためのエネルギーを得ることができます。
- ストレスに強い身体を作る手助けをします。具体的には副腎を刺激して、ストレスを抑えるホルモンを作り出すのです。
- 糖分やタンパク質、脂肪の代謝を手助けします。これにより、食べ物からエネルギーを効率よく取り出すことができます。また、血糖値のコントロールも助けます。
- 脂肪酸の生成や分解を助けます。これにより、体内の脂肪のバランスを整えるのを支援します。
- 赤血球を作り出すことを助けます。赤血球は体内の酸素輸送に必要なもので、これがあれば酸素が全身に行き渡ります。
- ホルモンを作り出すのを支援します。コレステロール、下垂体ホルモン、性ホルモンの生成を助けます。これらのホルモンは体の機能を調節し、バランスを保つのに重要です。
- DNAを複製するのを助けます。これは新しい細胞を作り出すのに必要で、体の組織を修復・再生するのに役立ちます。
- 神経組織と筋肉組織の生成を支援します。これにより、身体の動きを支える筋肉や、感覚・思考を司る神経の健康を保つのを助けます。
- 神経伝達物質の生成を助けます。これは脳や神経の正常な機能に必要です。
- 結合組織や粘膜組織の生成、そしてヒアルロン酸の生成を助けます。これにより、肌の健康と若さを保つのを支援します。
- 抗体の生成を支援します。抗体は私たちを病気から守るために必要です。
- 消化管の健康を保つのを助けます。これにより、食事から栄養を効率よく吸収することができます。
- 肝臓での解毒作用を支援します。これにより、体内の有害物質を無害化し、健康を維持します。
つまり、ビタミンB5は体の様々な機能に深く関わっていて、私たちの健康に大切な栄養素なのです。
ビタミンB5の耗要因、補給源、過剩症。
耗要因:
- アルコール、茶、コーヒーの過剰摂取。
- 偏食、特に白米食。
- サルファ剤やピルの服用。
- 長期にわたる発熱。
- 強いストレス。
- 加熱、加工、冷凍によるビタミンB5の損失。
補給源:
- レバー、鶏肉、牛乳。
- かれい、かじき、たらこ、鰯。
- アボガド、さつま芋。
- 腸内細菌によるビタミンB5の合成、白米に麦を加えるとB5の合成が進む。
過剩症:
- 10~20gの摂取で下痢やむくみを起こす報告あり。
- 自律神経失調症になりやすい。
- 毛細血管の血液循環低下、血圧低下。
- 動脈内側の粘膜が弱くなる、コレステロール増加、動脈硬化。




ビタミンB5の不足と適量摂取時の効果
ビタミンB5の不足と適量摂取時の効果については以下のようにまとめられます。
ビタミンB5が不足すると:
- エネルギーが不足し、疲れやすくなる。
- 性格が変化し、自律神経のバランスが乱れる。
- 副腎の働きが低下する。
- 結合組織が弱くなる。
- 胃腸に障害が生じる。
- 末梢神経の障害が発生する。
- 感染に対する抵抗力が落ちる。
潜在性欠乏症:
- 疲れやすくなる。
- 怒りっぽくなる。
- 昼間から居眠りするようになる。
- 胃が弱くなる。
欠乏症状:
- 精神症状: 怒りっぽく、喧嘩早い、短気、いらいら、神経質、ふさぎ込む、すぐ気分が変わる、無気力、不眠、孤独を好む、不満を抱く。
- 胃腸症状: 食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、胃腸の動きが鈍く、胃腸粘膜が弱くなる、胃下垂、潰瘍、便秘。
- 一般症状: だるい、疲れやすい、居眠りする、副腎が弱る、ストレスに弱い、血圧低下、めまい、頭痛、頻脈、筋肉の脱力、手足のしびれ、足裏の灼熱感、痛み。
ビタミンB5を適量摂取すると期待される効果:
- 脳の老化を防ぎ、遅らせ、時には改善する。
- 疲労を防ぎ、副腎機能を刺激しストレスを緩和する。
- コレステロールを下げ、冠動脈疾患を予防する。
- エネルギー生産と運動能力を高める。
- 関節炎を緩和し、予防する。
- 傷の治りを早める、術後のショック
に有効。
- 免疫を刺激し、抗体の産生を増やし、抗感染性を高める。
- 抗生物質の毒性や放射線による細胞障害を緩和する。
- アルコールを解毒する。
- 生殖能力を高め、老化を遅らせ、寿命を延ばす。
- 脱毛や白髪を予防する。
ビタミンB5を多く含む食材
ビタミンB5、またはパントテン酸は、健康な皮膚や髪を保つために必要なビタミンであり、エネルギー代謝にも重要な役割を果たします。ビタミンB5は様々な食品に含まれていますので、バランスの良い食事をとることで通常は十分な量を摂取することが可能です。
以下にビタミンB5を豊富に含む食材を挙げます:
- 肉類:特にレバーはビタミンB5の良い供給源となります。鶏肉、特に鶏の胸肉も良い供給源です。
- 魚類:鮭やかじきなどの魚にはビタミンB5が豊富に含まれています。
- 卵:卵はビタミンB5だけでなく、他のB群ビタミンも豊富に含んでいます。
- 乳製品:牛乳やヨーグルト、チーズにもビタミンB5が含まれています。
- 全粒穀物:全粒のパンやシリアルはビタミンB5を多く含んでいます。
- 野菜:特にアボカドやさつまいもはビタミンB5が豊富です。
ビタミンB5は水溶性のビタミンであるため、過剰に摂取しても体内に蓄積されにくく、尿と一緒に排出されます。ただし、特に健康に問題がない場合は、特別にビタミンB5を多く摂取する必要はありません。バランスのとれた食事を摂ることが最も大切です。
なお、サプリメントでビタミンB5を摂取する場合は、適切な量を摂取することが重要です。


調理方法
ビタミンB5(パントテン酸)は熱や光に強い特性を持つため、一般的な調理法では大きな損失はないとされています。したがって、ビタミンB5を含む食材を調理する際に特別な注意を払う必要はありません。
以下にビタミンB5を豊富に含む食材を活用した料理をいくつか紹介します。




- レバーのソテー:レバーにはビタミンB5が豊富に含まれています。レバーを薄く切り、ニンニクと一緒にソテーすることで美味しく摂取することができます。
- 鶏胸肉のグリル:鶏肉にもビタミンB5が含まれています。オリーブオイル、塩、胡椒でシンプルに調理するのがおすすめです。
- 鮭の焼き物:鮭にもビタミンB5が含まれています。焼くだけでなく、ホイルで蒸し焼きにすることも一つの方法です。
- アボカドのサラダ:アボカドはビタミンB5が豊富に含まれる野菜です。スライスしてそのままサラダに加えるか、ギリシャヨーグルトと混ぜてディップとしてもおいしいです。
- さつまいものロースト:さつまいもにもビタミンB5が含まれています。オーブンでローストして甘みを引き出すとおいしいです。
- 全粒穀物を用いた料理:全粒穀物はビタミンB5を多く含んでいます。全粒穀物のパスタや全粒穀物のパンを用いた料理も良い選択です。
これらの食材と料理はビタミンB5の摂取に役立つだけでなく、他のビタミンやミネラル、食物繊維なども豊富に含んでおり、健康的な食事に欠かせないものです。一方で、バランスの良い食事を心掛け、多様な栄養素を摂取することが重要であることを忘れないでください。
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