
集中力がすべてを解決する 精神科医が教えるゾーンに入る方法
今回は樺沢 紫苑さんが書かれた『集中力がすべてを解決する 精神科医が教えるゾーンに入る方法』という本を解説します。
- 脳の集中力を高める基本原則
- 能力を引き出し仕事のスピードと質を上げる
- トップギアの脳は自己洞察力で決まる
この順番で解説していきます。
仕事のミスが多い、仕事の効率が悪い、パフォーマンスが低い、時間がない、何かに追われている——皆さんはこういったことで悩んだことはないでしょうか? 実はこれらのすべての問題は集中力が原因で起きています。集中力を高めて効率的に仕事ができるようになれば、収入を増やすことが可能です。本書は、かつて仕事に振り回され、不健康な働き方をしていた著者が、健康と成功、お金を手に入れるまでに実践してきたことをまとめた本です。日々のストレスが多い中でも集中力を高め、パフォーマンスを上げたい方に役立つ、おすすめの一冊です。
![]() | 集中力がすべてを解決する 精神科医が教える「ゾーン」に入る方法 [ 樺沢紫苑 ] 価格:1650円 |

1. 脳の集中力を高める基本原則
この章では、集中力を高めるために理解しておきたい2つの重要なポイントについて解説します。
- 集中力低下の3大原因
- 健康よりも上の状態を目指す
集中力低下の3大原因
集中力がなぜ低下するのか。その理由を理解することで、集中力を維持するための対策がとれるようになります。まず、集中力低下の原因を3つに分けて見ていきましょう。
1. 1日のリズムと疲れ
集中力には1日のリズムがあり、一般的には朝が最も高く、午後から夜にかけて徐々に低下していきます。これは「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼ばれ、多くの人に共通する生理的なリズムです。このリズムを無視して夜遅くまで仕事や勉強をすると、どうしても集中力が続かず、パフォーマンスも下がりがちです。
さらに、脳を使えば使うほど疲労が溜まり、集中力が低下していきます。朝はまだ疲れが少なく、集中力が高い状態ですが、午後や夕方になると疲労が蓄積し、集中力は自然に低下します。このため、難しいタスクやクリエイティブな仕事は朝のうちに行い、午後や夕方にはルーチンワークや軽いタスクをこなすようにスケジュールを工夫することで、リズムを活かした仕事の進め方が可能です。


2. 脳疲労とストレス
次に集中力を妨げるのは、脳疲労とストレスです。脳疲労とは、身体的な疲労とは違い、精神的な負荷が溜まることで起こる「脳の疲れた状態」を指します。ストレスやプレッシャーが続くと、ストレスホルモンであるコルチゾールが増加します。コルチゾールは身体をストレスに対抗させるためのホルモンですが、これが慢性的に高い状態が続くと、集中力や注意力を維持するのが難しくなります。
また、精神的な疲れは「やる気」を削ぎ、注意力も散漫にさせます。たとえば、家族や友人との人間関係の問題、仕事でのプレッシャー、将来への不安といったさまざまな要因が脳疲労を引き起こす可能性があります。このような場合は、瞑想や軽い運動、深呼吸を行って心身をリフレッシュさせることで脳疲労を軽減し、集中力を取り戻すことができます。
![]() | メガビタミンATP 4点セット ( 鉄 ビタミンB50コンプレックス ビタミンC ビタミンE ) | メガビタミン健康法 分子栄養学 価格:8480円 |

3. ワーキングメモリの低下
集中力の3つ目の障害は、ワーキングメモリの低下です。ワーキングメモリとは、脳の作業領域とも呼ばれ、短期的に情報を保持しながら処理する機能です。このワーキングメモリが低下すると、情報を瞬時に処理する力が弱まり、些細なミスやド忘れが増えてしまいます。
ワーキングメモリは、過度なストレスや疲労、情報過多の状況などで低下しやすい性質を持っています。また、もともとワーキングメモリが少ない人や、年齢による影響でメモリ機能が低下している人もいます。このような場合、情報をこまめにメモしたり、作業をシンプルにして取り組むことで負担を減らし、ワーキングメモリを活かした効率の良い仕事が可能です。
![]() | 価格:8760円 |

健康よりも上の状態を目指す
集中力を持続させ、高いパフォーマンスを維持するためには、ただ「健康」であるだけでは十分ではありません。多くの人が「健康=ベストの状態」と考えがちですが、実は集中力を最大化するには「絶好調」と呼べるほどの良好な状態を目指すことが必要です。
最近では「ウェルビーイング(Well-being)」という概念が注目されています。これは、身体的・精神的に健康なだけでなく、社会的・経済的に充実している状態も含まれます。つまり、仕事や人間関係がうまくいっている、精神的にも満たされているといった、心身のバランスが整った状態です。
2. 能力を引き出し仕事のスピードと質を上げる
この章では、効率的に能力を引き出し、仕事のスピードと質を向上させるための2つの重要なポイントについて解説します。
- ウルトラディアンリズム時間術
- 100点を目指さない30点目標仕事術
ウルトラディアンリズム時間術
ウルトラディアンリズムとは、人間が持つ90分ごとの集中と覚醒のリズムのことです。日中、私たちの脳は約90分間の集中が続いた後、20分ほど覚醒度が低下し、休憩を必要とするサイクルを繰り返しています。これを「ウルトラディアンリズム」と呼び、最も集中力を発揮できるリズムを知り、活用することで仕事の効率を劇的に上げることが可能です。
たとえば、重要なタスクに取り組む場合、まず90分間しっかりと集中し、その後に20分の休憩を取りましょう。休憩中は、脳が自然にリフレッシュされるため、次の90分間の集中力が再び高まります。このようなサイクルを1日数回繰り返すことで、頭の冴えた状態を維持しながら仕事に取り組めるようになります。
また、ウルトラディアンリズムには個人差があるため、必ずしも「90分+20分」の時間に厳密に従う必要はありません。自分の集中力が切れるタイミングや最適な休憩時間を意識して調整することで、より効果的にリズムを取り入れることができます。


100点を目指さない30点目標仕事術
次に「100点を目指さない30点目標仕事術」についてです。仕事やクリエイティブな作業を進める際、最初から完璧を求めようとすると、思考が停止し、手が進まなくなることが多くあります。著者はこの問題に対して、「まず30点の出来で構わないから、とりあえず最後までやりきる」ことを勧めています。
具体的には、原稿を書き始める際に「まず30点の完成度を目標に書き上げる」ことで、作業を止めることなく進行させます。30点という低いハードルを設定することで、細かい表現や完璧な構成にとらわれず、一通りの流れを先に作り出せるため、途中で手が止まることがなくなります。たとえ不完全でも最後まで進めば、文章の全体像が見え、後から修正すべき点が明確になります。
一度30点で全体を完成させたら、次に「50点」「70点」と段階を経て修正を重ね、最終的に完成度を高めていきます。この段階的なプロセスにより、最初から100点を目指すよりも短時間で質の高い成果物を作り上げることができます。また、この方法は他の業務にも応用可能で、特に新しいプロジェクトやアイデア出しの段階では有効です。まずは粗削りでも形にし、次のステップで磨きをかけていくという意識を持つことで、スピードと効率の向上が見込めます。
ウルトラディアンリズムと30点目標の組み合わせにより、時間を意識しながらも負担を抑えつつ、集中力を維持して仕事のスピードと質を上げることが可能になります。


3. トップギアの脳は自己洞察力で決まる
この章では、脳のパフォーマンスをトップギアに引き上げるための2つの重要なスキルについて解説します。
- 自己洞察力を鍛えて集中力を保ち続ける
- 雑念を排除するルーティン思考
自己洞察力を鍛えて集中力を保ち続ける
自己洞察力とは、自分の状態をモニタリングし、集中力の度合いや心身のコンディションをリアルタイムで把握する能力です。この力を身につけると、自分の集中力が下がり始めたことや、注意力が散漫になりかけている瞬間を早期に察知し、適切な対応を取ることができるようになります。
自己洞察力を高めるためには、以下の4つのチェックポイントを意識して日常的に自分の状態を確認することが効果的です。
![]() | 価格:2999円~ |

- 集中力の高さ:今の自分の集中力は高いのか低いのかを判断し、集中力が低下している場合は一度休憩を取ったり、タスクを切り替えたりして、集中をリセットします。
- ワーキングメモリの状態:脳の情報処理の領域であるワーキングメモリの状態も確認し、疲れやストレスで容量が減っていないかをチェックします。
- 脳の疲労感:特に長時間の作業やストレスが溜まっている場合、脳が疲れているかどうかを確認し、必要であれば深呼吸や軽い運動をしてリフレッシュしましょう。
- 集中力の高い時間帯の活用:集中力のピーク時に重要なタスクを配置できているかも見直し、自分のリズムに沿った効率的な作業時間を見出します。
これらの状態を自己チェックし、必要に応じて調整を行うことで、常に自分のパフォーマンスをトップレベルに保つことが可能になります。自己洞察力を鍛えるには、日々の意識と小さな調整を繰り返すことが鍵です。
![]() | 価格:65000円 |

雑念を排除するルーティン思考
次に、集中力を妨げる「雑念」を排除するためのルーティン思考についてです。人間の脳は、複数のタスクを同時にこなす「マルチタスク」が苦手です。特にプレッシャーがかかる場面や、緊張する状況では、心配や不安といった雑念が湧き上がりやすく、集中力を削がれてしまいます。このような雑念を排除するために、ルーティンを取り入れることが効果的です。
ルーティンとは、決まった行動の流れや手順のことを指します。スポーツ選手が試合前に一定の所作を行うように、緊張する場面や集中力が求められる場面で一定のルーティンを取り入れると、脳はその動作に意識を集中させるため、雑念が入りにくくなります。ルーティンには次のような効果があります。
- 脳が安心する:決まった動作を繰り返すことで、心が落ち着き、不安や緊張が緩和されます。
- 集中力のスイッチが入る:特定のルーティンがトリガーとなり、脳が集中モードに切り替わります。
- 無駄な雑念を防ぐ:人間の脳はマルチタスクが苦手なので、ルーティンに集中することで、雑念が入る余地を作りません。
たとえば、プレゼンテーションの前に深呼吸を数回行う、緊張する前に指先を軽く握るなど、シンプルで構わないので、自分なりのルーティンを持つと効果的です。また、雑念を抑えるためには、3つ以上の動作を組み合わせたルーティンが有効です。これは、単純すぎる動作だと脳に余力が生まれ、雑念が入りやすくなるためです。たとえば、深呼吸→背筋を伸ばす→指先を握るといった3ステップのルーティンがあれば、脳がその流れに集中し、余計な考えが浮かびにくくなります。
この自己洞察力とルーティン思考を組み合わせることで、自己管理の精度が上がり、より長時間、集中力を維持して作業ができるようになります。
![]() | 集中力がすべてを解決する 精神科医が教える「ゾーン」に入る方法 [ 樺沢紫苑 ] 価格:1650円 |

おわりに
今回紹介した本『集中力がすべてを解決する 精神科医が教えるゾーンに入る方法』には、まだまだ多くの役立つ内容が詰まっています。興味のある方はぜひ読んでみてください。
コメント